ゲイリー助川エッセイ集

気まぐれにエッセイを書き綴ります♪

ゲイリーコラム―「ルビッチよ!煙を消してくれたまえ!」

 昨日なかなか面白いニュースがあった。

「居場所失った」ということで愛煙家が提訴したんだという。

どういうことかというと、飲食店などの屋内を原則禁煙とする改正健康増進法により、喫煙者が居場所を失い、精神的苦痛を被ったという内容。「おかしいやないか、違憲やないか」ということで、たしかに愛煙家にとっては切実な悩みところではある。

 実は僕も元愛煙家で、18歳から13年間吸って止めた。止めてから14年が経って、ようやく喫煙年数を超えたというところである。今となればもう煙草を吸いたいとは露の程にも思わない。ただ、不思議なことに吸っている夢は今だに観ることがある。何の躊躇もなく普通に煙草に火をつけて「あ、しまった、俺吸ってしまってる。復活してしもてるがな」がいつものパターンで、目を覚めて「普通の」空気を吸ってることを確認して安心するといった具合だ。

 なので煙草を吸いながら食事ができたのが、それができなくなってしまって「どういうことやねん」と憤る喫煙者の気持ちはわからなくもない。昔の僕なら同じように嘆いていたことだろうと思う。

 ところで、こういう喫煙云々の話題が出てくると必ず起こる議論が「文句あるなら止めたらええねん」てやつだ。ただそれは「愛煙家には愛煙家の理由がある」ということを抜きにした個人的な意見であって声高に主張することではない。人それぞれいろんな価値観があるわけで、愛煙家の自由が奪われることについては彼らにとっては一大事なわけである。なので今回の提訴については裁判の判決でどうなるかを決めてもらえばいいのではないだろうか。

 ちなみに僕個人の意見としては、提訴は全然ありな話だと思う。ただ、提訴した方についてはどのような病気になって「煙草を止めないと命に関わりますよ」と言われても、「いや、僕は飲食店でご飯と一緒に煙草を吸えないのはおかしいと国を訴えた人間です。止めるわけにはいきません」と堂々と吸っていただきたい。

また、喫煙者専用の飲食スペースが出来た暁には必ず喫煙者スペースで飲食していただきたいものだ。「今日はえらい煙ってるし、禁煙スペースにしよか」などと言ってはいけない。そこら中「人間煙突」みたいな方々ばかりで、どこもかしこも煙があがり、「えんとつ町のプペル」のような様相であっても、喫煙者スペースで飲食するべきだと思う。「禁煙がなんだ!健康がなんだ!俺達には煙草がある!」こういうスローガンでガンガンに吸っていただきたいと思う。

 僕は煙草を止めた人間なんで吸ってるときと止めた今とがあるわけだが、喫煙所に入ることはもうできない。よくもまあこんな息苦しいところで煙草を吸っていたもんだと思う。「えんとつ町のプペル」の主人公、ルビッチに煙を消してもらって、煙草のない世界の素晴らしさに気づいてほしいと思ったりする。