ゲイリー助川エッセイ集

気まぐれにエッセイを書き綴ります♪

これが最後のボラギノール

 もうかれこれ10年ほど痔に悩まされていて、切れ痔が原因による痒みには今も悩まされている。イボもたまにできることがあって切れ痔イボ痔の2冠を制していた期間も多い。

薬局に行ってボラギノールを買うたびに「今回で最後にしよう。これがなくなったらちゃんと病院に行こう」とは思うものの、いざ本当になくなると足先は病院ではなく薬局となってしまう。そしてボラギノールを買うたびに毎日塗付するということをせず幹部が酷くなったときにしか塗付しない。これでは治るものも治るわけがないのだ。

僕は昔からどうもアイテムを手に入れると安心してしまう気質で、昔は参考書を購入したら安心し、勉強した気分に浸っていた。こんな調子で勉強などできるわけがない。それが「よし、勉強しよう」と思うたびにそんな調子だったから参考書だけが無駄に多かった。それが今度はボラギノールに形を変えて今もしっかりと引き継がれているわけだ。

ある日ついに、たまに襲いかかってくるイボ痔について「イボ界のラスボス」とも称すべき大痔主が突如として現れた。その存在感は凄く、肛門内には収まることすらできない。それはまさに爆発した溶岩のようだった。イボ痔側としても「お前もうええかげんにせえよ」と思ったに違いない。その日は普通に出勤したけれど夕方頃どうにも座れなくなって、激痛に耐えきれず病院に向かった。

僕は普段自転車通勤していて、病院にいくにも自転車で向かったが、痛みでどうしても立ち漕ぎになる。ところが立ち漕ぎだとお尻に何か挟まっている感が常にあって気持ち悪い。「漏れる寸前」に似た感覚がずっとある感じだ。アスファルトの凹凸を通過するたびに痛みが走った。44歳のおっさんが坂道でもない平坦な道を痛みに耐えた形相で走っているというのは見る側からしても異質なものに感じたに違いない。そんな座ったり立ったりしながらようやく病院にたどり着いた。